お弁当があると心が落ち着く

数年前、ある女性の作家さんのドキュメンタリー番組を見ました。
朝から夕方まで原稿を書くのだけれど、お昼ご飯が決まっていないと、それが気になってしまうから、自作のお弁当を用意することにしたんです、と。

いくつかあるお店を思い浮かべて、あれにしようかな、こっちにしようかな、と思うことで心が落ち着かない、と話しておられたんです。

迷い、とか葛藤、って、とても人の心を疲れさせるんだよね、と思います。

数年前、ある演奏会の後、レセプションが予定されていて、何かきれい目のワンピースを用意しなきゃ、と思っていたのに時間が取れなくて、とうとう当日になってしまったことがありました。

その演奏会をするホールには小さなブティックが入っていたのを知っていたので、当日、リハーサルの前にそのお店に飛び込んで、15分しかないけど、きれい目のワンピースが欲しいんです！

これと、これと、これ、試着していいですか？と、3着ほど試して、シャッと買ったのですが、そういう時ほど、なぜかいい買い物が出来るんですよね。

迷いがない……というか、迷っている暇がなかった。

迷いや葛藤がない状態では、本心が否応なしに現れる、ということなのかも知れません。

でも、この迷っている暇がない時というのは、つまり追い詰められた時に出る力だと思うので、そうでなく穏やかな、安心している心の時でも、スッと本心が出てくる……そんな風になりたいな、とも思います。