らんこっこ音楽堂♪

ヴォイストレーニングとカウンセリング

おじいちゃんに電話したら「何の用ですか?」と言われた話

ここのところ、世代間ギャップについて考えていて、幼い頃のことを色々思い出しています。

 

小学4年生くらいの時だったか、父方の祖父に電話をかけました。
父方の祖母はすでに亡くなり、祖父は伯父さん一家と共に暮らしていて、私と妹は時々、祖父に手紙を書いたり、電話をかけたりしていました。

 

電話に出た祖父は、相手が私だと確認すると「何の用ですか?」と言いました。その言い方はとても優しかったのですが「何の用」という言葉に少し驚きながら、私は学校であったこと……具体的には忘れましたが、遠足とか運動会とかのイベントの報告や、単に近況報告をしたのだと思います。電話が終わって、母が「おじいちゃん何て言ってた?」と聞くので「何の用ですか?」って聞いたよ、と答えると、母はすごく怒っていました。

 

「そんなこと言うなら、もう電話しなくていい!」などと大きな声を出していた気がします。その頃、まだ時代は黒電話で、都道府県を超えた通話は料金が高かったですし、母としては、定期的に孫の声くらい聞かせなきゃ、と気を利かせたつもりで、私たちに電話をさせたのに、それが報われた気がしなかったのでしょう。

 

私はその「何の用ですか?」という言葉に、違和感を覚えましたが、そんなに怒ることかなぁ?と不思議な気持ちでした。母方の実家に電話するといつも祖母が出て、「ああ、らんこっこちゃん?元気にしてますか?」などと声をかけてはくれたと思います。それに比べると「何の用」とは、確かにそっけない感じがしますが、つまりは「今日はどうして電話をかけてきてくれたのかな?」くらいの意味だったと私は思いました。

 

すでに10歳くらいでしたので、「おじいちゃんはそういう言葉遣いをする人なんだ」とそこに関しては自分の考えを持っていましたが、もう少し小さかったら、このように言われたら、母と同じように起こるべきなのか、と考えたかも知れません。

 

祖父は、今ではもう見られない非常に薄い、触れるとすぐに裂けてしまいそうな紙、あれはなんという紙でしょうね、トレーシングペーパーみたいな……そういう紙の便箋に、「さふですね」などと旧仮名遣いで手紙を書いてくれる人でした。第二次大戦で南方の島にいたそうですが、戦争のことは何も聞いたことはありませんでした。とても物を大事にして、何事も相手を優先する人でした。ですから、私をないがしろにしたとか、そんな風には思えないのです。祖父なりの言葉遣いで接してくれただけだと思っています。

 

祖父と母と私、それぞれ30歳近い歳の差があって、それぞれの世代の文化というものがあると思います。そこを読み間違うとお互いに嫌な気持ちになるのではないでしょうか?時代は新しい方へと進んでいき、年々、人々の考えや行動様式は変わっています。
歳を重ねた者が新しい価値観を学び、身に着ける努力はもちろん必要ですし、同時に、年上の方に対しては、なぜそういう発言や行動になるのか?少し時代を遡って、考えてあげる、そういう世代間ギャップに感情を振り回されない態度も必要かなと感じています。