ゴールデンサークルのライブ♪
(開演前の会場写真で、アーティストさんは写っていません。)
友人に誘われて武道館でのゴールデンサークルのライブに行ってきた。
ソロライブでないせいか、 良い意味で緩いノリで、曲を知らなくても周囲に無理なく溶け込んで楽しめた。
私はクラシックの演奏会に行くことの方が圧倒的に多いのだけど、クラシックを聴きに行く時は、すでに知っている曲で何度もレコードやCDで聴いた曲、演奏したことのある曲、もある。
でも、それはクラシックの演奏会というのは基本的にポップスで言うところの「カバー曲」だからという理由が大きいのだと思う。
モーツァルトやベートーヴェンも、もちろん当初はオリジナル…つまり、自分で作って自分で演奏していた訳だけど、もうとっくに天国に行ってしまわれたため、その後、何百年にもわたって、演奏している人は全員「カバー」している状態になる。
(だからこそ、時々、作曲家の方たち主催の新作発表演奏会などに行くと、いつもと違ったワクワク感を感じる!)
Jポップ、ロックなどのコンサートでは、自分で書いて自分で歌っている、もしくは自分のために書いてもらった曲を歌うことがほとんどなので、そうでない場合を「カバー」というのだな、と認識している。
考えてみれば、自作自演が聴けることは非常に有り難いことだと思う。
クラシックとポップスとジャンルの違いや、今、流行りの曲は長期的な評価が定まっていないという点はあるにしても、作った人の演奏をそのまま聴けるのはうれしいことだ。
今回、ボーカルが 寺内さん桜井さんKさんと三人いたので、 それぞれの個性が 際立ち 色の違いが はっきりと伝わってきたのも、お得感満載だったのだが
カバー曲が何曲かあり、その中でも例えば1番をKさん、2番を桜井さん、と 歌う人が変わるという曲もあり、まるで 曲の意味そのものが変わるようで、新しい曲を聴いているようだった。
改めて、歌というのはメロディーと歌詞以外の部分、すなわち声や歌い方からも、多くのものが伝わっているんだなあと感じた。
結果として、このコンサートでは、自作自演を聴ける有り難さと、他の歌手がカバーした表現を聴く豊かさと、両方を経験させてもらった。
この、同じ曲でも人が変わると意味が変わるほど違って聴こえる…ということから、
ライブの感想としては少し変なことを言うようだけれども、 人の仕事というものは、 音楽や美術など、はっきりとわかる表現をしている人の仕事でなくても、 誰のどんな仕事であっても、その人の表現なのではないか?と感じた。
同じ材料でカレーライスを作っても、人によって出来上がりはまったく違う…
そういうことを、頭でも経験でも知ってはいたのだけれど、今回の歌を通して実感として心が感じたというべきだろうか。
それを感覚で受け取った今、私はそういう一人一人の仕事や、生活の中の人の行動や言動を今までより尊重できる気がする。
なぜなら、それらはすべてその人の表現だからだ。
良いことをしてくれた行為をありがとうと受け取るだけでなく、
たとえ一般的には悪いとわれる行為をされた時であっても、
表現だとすれば、良いも悪いもない。
表現の世界では自由だからだ。
歌の中では、いいことも歌うが、悪い人にもなれる。
「本当のことは歌の中にある」という一節があるが
本当に、歌を歌う人間にとっては歌の中にこそ本当の自由があり
現実世界は、それより少し息苦しいのかも知れない。