らんこっこ音楽堂♪

ヴォイストレーニングとカウンセリング

064 皆さんそうなんですよ、と告げる理由

お友達とかご家族とかに自分が疑問に思ったことや、ちょっとモヤモヤした出来事を話した時に「みんなそうなんだよねー」って言われた経験あるかなと思うんです。

 

カウンセラーとしてクライアントさんの話を聞いて、まず最初に「皆さんそうなんですよね」ってお返しする事は少なくないです。

 

ご相談を受ける時に初めてお会いする場合もありまして、そうすると相手の方がどういう方か全然わからない。

 

お名前と、ご相談を簡単にしゃべっていただいた段階で、まずは「皆さんそうなんですよ」っていうふうに最初に言うのには理由があります。

 

こっちが「えーっ!」とかって驚いちゃったりして、ご相談者に「こんなことを考える私っておかしいのかな」とか「こんなことをカウンセラーに相談する自分って変なのかしら」とか思われちゃったら、その後お話を聞く事ができないからなんです。

 

まずは、私は驚かずにあなたのお話を聴くつもりです、ということを表明して、それから詳しくお話を伺っていく。そうすると、その方なりの個別の事情とか個別の背景とかが見えてくるからそこを一緒に解決していきましょう、となる。

 

大人でも子供でも年齢に関わらず、こんな風に考える自分っておかしいのかな?間違ってるのかな?って考えるタイプの方だったら、「皆さんそうなんですよ」って言われれば、ちょっと安心して、「あ~そっか、他にもこういう人いるのか」と思って、安心してそのことを喋って下さる。

 

逆に、この相談は私の固有のものであって、私以外に理解できる人なんている訳ないんです、と、ご自身の気持ちを特別なものとして、特に大事に思っている方もおられます。

 

そのような方に「皆さんそうなんですよ」ってお返事すると、そんなの初めて会ったあなたのわかるんですか、他の人とは私のは違うんです、っていう風に反発心を感じる方もいらっしゃる。

 

本当のところは、皆さんのご相談っていうのは、それぞれまったく違うんですよね。

 

ちょっと話は変わりますが、私にも悩みがありまして、朝起きるのが辛いんです。

睡眠時間は十分足りてるんですけど、私の何かがうまくいってないと思うんですけど、とにかく朝起きるのが辛いんです。

 

それで、例えば友達でもカウンセラーでも、誰かセラピストとかコーチングの人とかに言ったとしますよね。そうすると「皆さんそういう人多いんですよね」って言うと思うんですよ。

 

それは、本当に「そういう人結構いるんですよ」っていう意味と同時に、「皆さんそうなんですよ。だから安心して、その奥のあなたの個別の事情を聞かせてくださいね」っていう言葉なんですね。



朝、起きるのが辛い人は沢山いるだろうけど、その上で、あなたは何時に寝るんですか?とかどんなベッドで、どんな明るさですか?とか。

起きる時って目覚まし使ってますか、使ってませんか?とか。
食べ物や仕事の量とか、心理的な事など、そこから個別な事を相談していくんですよね。

 

だから「皆さんそうなんですよ」というのは、そのことを気にしているということ自体を気にしなくても大丈夫ですよ、っていうただのお知らせなんです。

 

例えば、世の中で半分ぐらいの人は大体自分のこと女性と思っているんですよとかそういうことなんですよね。

 

女性と思っているって言っても、その中身は千差万別で、体が男ですっていう人もいるだろうし、両親は男の子が欲しかったから女性だってことが嫌なんですっていう人もいるし、女性であることが本当に喜びだっていう人もいるし。

 

とにかく、一番最初のところで世の中の半分ぐらいの人は自分のこと女性と思っているんですよね、っていうのは嘘じゃないんですよね。

 

その次の段階として、じゃあそれをすごく嬉しいと思ってますか?それとも嫌だと思ってますか?って今度二つのグループに分かれるでしょう。

 

私、実はそれを嫌だと思っているんです、って言ったら、何で嫌だと思ってるんですか?って理由を探っていく、という感じでだんだん深く入っていくんですよね。

 

だから、少なくともカウンセラーなど仕事で相談を受けている人に、こういう事に最近悩んでいるんですって言った時に「皆さんそういう人多いんですよね」って言われたら、「私はあなたの話を驚かないで深く聞いて行く用意がありますよ」って、いう合図なんだなぐらいに思って頂けたらいいのかなって思います。

 

stand.fm で話した内容を再構成したものです。

「064064 皆さんそうなんですよ、と告げる理由」