こもった声を直さない方がいい時もある
児童合唱団の指導をしていた時
Nちゃんという、鼻にかかるこもった声の子がいた。
合唱団なので
一人一人発声をみる時間を作り
癖はなるべくとっていくのだが、
Nちゃんを含め、子供の声の癖は
取らない方がいいのでは?
と思った日があった。
Nちゃんは、両親と妹の4人家族。
お母さんは腰が低く、人に迷惑をかけちゃいけない、と
いつも周りとの調和を考えておられるような方。
伸び伸びした妹に比べて
Nちゃんは色んな場面で我慢を強いられているように感じた。
文句を言いたいけど、言えない…。
そんな気持ちが声になっているような…。
そのNちゃんの声をまず開放する!
というやり方もあるのかも知れない。
気持ちを言うことが出来なくても
歌で発散すれば、あとから自分の気持ちを言えるようになる。
そういうこともあるだろう。
でも、Nちゃんは、彼女自身の考えで
家族や学校の中で自分なりのバランスを保とうとしていた。
私はそれを尊重したかった。
なので、しゃべり声と同じ高さの声はそのままに
それより、低い声と高い声を伸ばすようにトレーニングした。
これは、大人も同じなのかも知れない。
声によって何を守ろうとしているのか?
レッスン生の方と一緒に耳を澄まして
もう手放して良いよ、と
声が言うのなら、声を開放してゆく。
そんなレッスンをしています。